特定非営利活動法人 おとなのバンド倶楽部 設立趣旨書
音楽を創造し、享受し、文化的な環境の中で生きる喜びを見出すことは、人々の変わらない願いです。また、音楽は、人々の創造性を育み、その表現力を高めると共に、人々の心のつながりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものであり、世界の平和に寄与します。
日本における15才以上の楽器演奏人口は9.8%であり、その行動者率は年齢が上がるにつれ逆に減少し、75才以上では3.4%です。(「平成28年社会生活基本調査結果」総務省統計局) 一方、一般人の約50~60%が楽器演奏を志望していると推定されており、特にバンドの一員として音楽を楽しみたいという潜在的ニーズは大きいと言われています。行動に移せない背景には、時間や資金の制限、行動を起こすためのきっかけや動機付けの欠如、バンド組織化のためのネットワークや適切な情報の不足、発表の場を設ける作業の煩雑性等があります。
更に、近年では、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)、働き方改革、孤立防止等の高齢者対策、地域社会への参画等の子供・若者育成支援が推進されており、その一分野として、音楽を通した自己啓発や社会的活動の機会提供がNPOに求められています。
例えば、私たち「おとなのバンド倶楽部」(以下、当団体とよぶ)の発起人全員が様々な形で関わってきた「日経おとなのバンド大賞」(日本経済新聞社主催、2007~2010年開催)、またその流れを引き継ぐラジオNIKKEI『大人のラヂオ』番組の「大人のバンド大賞」(2012年~)は、ミドル・シニア世代のビジネスパーソンを対象にしたアマチュアバンドコンテストとして知名度が高く、毎回、全国から数多くのアマチュアバンドの応募があります。(日経おとなのバンド大賞は毎年600~700バンドまたは推定3,000人以上が応募、ラジオNIKKEI大人のバンド大賞は毎年100曲以上が応募) これらのイベントは、アマチュア音楽家のモチベーションを向上させ音楽活動を活性化し、出演バンドメンバー及び関係者による新バンド・コミュニティ形成に貢献していますが、これら企業主導型・協賛型のイベントでは、企業の論理が優先される面もあります。私たちは、アマチュア音楽家を単なる参加者と位置づけるのではなく、オーナーシップを持つ主体的な立場と位置づけ、市民活動NPOとして、持続可能なアマチュア音楽家へのエンパワーメントを進めます。
また、これまで当団体は、2016年から東京・大阪で、アマチュア音楽家育成を目的とした『虹色楽団ロックコーラス・バンド』ワークショップを計72回主宰し延1,174(2018年9月末現在)名の方々にご参加いただきました。
今後は、『虹色楽団』等の音楽教育活動をより幅広く展開すると共に、私たちが個人的に行ってきた音楽関係のボランティア活動を統合し、音楽を中心とするライブ・イベントの企画運営、ライブ・イベント会場のバリアフリー化推進啓発、更にアマチュアバンド/アーティストのネットワーキングを促進させていきます。
そのためには、より多くの賛同者や賛同団体/企業との連携が必要であり、社会的にも認められた公的な組織にしていくことが必須であります。また、当団体の活動が営利目的ではなく、多くの市民の方々の参画が不可欠であるという点から、特定非営利活動法人格を取得するのが最適であると考えます。特定非営利活動法人として法人化することにより、組織運営体制やガバナンスが整備され、定期的な総会の実施、法令等で定められた書類の作成・提出、一般市民への情報公開などにより、社会的信用が得られ、健全な法人経営が実現できると考えます。
私たちは、アマチュアバンド/アーティストやその潜在人口、及び広く一般の音楽愛好家への多角的支援・育成を通して、アマチュア音楽振興を支えるサポーターを拡大し、音楽を通した心豊かな社会の実現を目指します。
2018年11月1日
設立代表者 岡田 信一
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