新理事長・ご挨拶

特定非営利活動法人おとなのバンド倶楽部(おとバン)は2019/2月に設立され、丸5年経過、6年目の活動に入ります。

おとバンでは、今後の事業活動を一層拡大、活性化させていくべく、昨年、取り組み姿勢や考え方を再確認し、定款の一部改訂を行いました。

その際の、おとバンの生業の礎となる「アマチュア音楽家」再定義と、私たちの(アマチュア音楽家のみなさまとの)コミュニケーションや事業のあり方についての議論は、そのまま私の新理事長としての思いです。

以下に改めて記し、就任のご挨拶に代えさせていただきます。

 

1. アマチュア音楽家

• 「アマチュア」とは「芸術・学問・スポーツなどを、職業ではなく、趣味や余技として行う人。素人、愛好家とも言う。対義語はプロフェッショナル(professional、金銭を得る人)」とあります。(Wikipedia より)

• Wikipedia には「音楽におけるアマチュア」という項はありませんが、「スポーツによるアマチュア」についての説明があり[=報酬を目的に競技するのではなく、趣味として楽しみながら、スポーツを純粋に愛好する人をアマチュアといい、その精神(スピリット)のあり方を強調する主義のことをアマチュアリズムという] 、私たちはそこにおける「スポーツ」という語を「音楽」に置き換えて理解したいと考えています。

• だとすると、「アマチュア」は、そのアマチュアという状態を志向すべきものではなく、むしろ普通の状態(「プロフェッショナル」を志向しない状態)のことを言うべきなのではないか。

• そこに厚みを持たせるエピソードとして、今は亡き坂本龍一氏が自らの著書で「バリ島にはプロのミュージシャンは一人もいない。~ すごく自覚的に、音楽を商品化しないようにしている。~ 共同体が長い時間をかけて培ってきた音楽には、どんな大天才も敵わないと思う」と述べていたことも「アマチュア」の音楽を考える上で非常に重要なヒントだと思います。

• また、音楽はそれを発表することによって、その対価として報酬を得てしまう場合があります。それは偶然である場合もあり、意図する場合も・・。音楽の場合、報酬を得たから(あるいはそれを志向したから)プロフェッショナルだとか、報酬を得ない人(得られない人)をアマチュアと呼ぶ、といった考えはナンセンス。なぜなら、音楽の演奏や発表はだれもができるのであって、その目的は各人各様であり、報酬を得るというのは結果論でしかない から。

• さらに、決して精神論に偏るつもりはありませんが、なぜ音楽を演る(あるいは発表する)のかを問うたり、自らの音楽に対してアマチュアリズムを大切にしているかや、音楽を愛好することについてのプライドをもっているか、などの視点も重要です。

• 以上から、私たちおとバンでは「アマチュア音楽家」という語自体のもつ愛好の意味や、イズム、プライドを内包しているという意義を尊重し、改めて大切にしながら、これからのおとバンを考えていきたいと思っています。

 

*「アマチュア音楽家」の定義は以下の通り・定款に明記

おとバンでは、バンド音楽をはじめとするさまざまな音楽活動を趣味として楽しみながら、その自らの活動を純粋に愛好する人を、敬意を込めて「アマチュア音楽家」という。

この場合の音楽活動とは、「観る」「聴く」「つくる」「奏でる」「発表する」「応援する」など音楽に関連するすべての活動をいう。

 

2. コミュニケーション・事業のあり方

• 私たちおとバンの、「アマチュア音楽家」のみなさまと「おとバンという組織」とのコミュニケーションや事業のあり方は、常々、「共助」であったり「共創」、あるいは双方向のコミュニケーションであると考えています。

• それは、岡田前理事長からのおとバン設立にあたっての最初の挨拶文のなかの「みんなで企画を持ち寄って、やりたい人が手を上げて制作し、みんながバックアップするそんな NPO 法人を目指します」にも凝縮されています。私もぜひ尊重し継承したいと考えています。

• (しかし、創立時の定款では、不用意にも、一方的なコミュニケーションであると思われがちな語が散見されたこともあり、)それらを「相互支援」「共創」「ワークショップ」「共同研究」などの語に改め、双方向、みんなで共に作り上げるという、おとバンの本来的な志向、趣旨を再確認いたした次第です。

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「アマチュア音楽家」としての自負と「相互支援・共創」の気概をもっておとバンをさらに発展させていく所存です。

今後ともおとバンをよろしくお願いいたします!

2024/4/1

藤原 豊